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最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)2467号 決定 1951年2月22日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人唐沢高美上告趣意について。

記録を精査すると第一審公判において弁護人が所論の書面を証拠とすることにつき同意した際、被告人は在廷しながら反対の意思を表明しなかったことは勿論これに対し何等異議をも述べずむしろこれに同意したものたることが認められるのである。この事は爾後該書面につき証拠調がなされた際にあっても被告人において何等異議を述べなかったことに徴して明白なのである。されば、右書面を証拠とするにつき被告人の同意がなかったことに立脚する所論は、その前提事実を欠くものであり、違憲を云為するけれども刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。そして本件は同四一一条に基ずき職権を発動して原判決を破棄すべき場合とも認められない。

よって刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い主文のとおり決定する。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔)

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